和太鼓の作曲について①
和太鼓の作曲ってどうやるの?「雨夜の星」ができるまで
和太鼓の世界には、譜面や楽典があまり存在しない分、作曲方法について疑問を持たれることも多いようです。実際、私の元にも「どうやって曲を作るんですか?」というメッセージがSNS経由で届きました。
そこで今回は、2025年11月29日に開催される**ソロコンサート『雨夜の星』**のテーマ曲を例に、プロの和太鼓奏者がどのように楽曲を生み出すのかをお話しします。
① まずはテーマを決める!和太鼓曲作りの出発点
和太鼓の作曲において、最も大切なのは「テーマ」選びです。
テーマは、自然・心情・歴史など、なんでも構いません。観客に何を届けたいのか、まずは明確に言語化することが鍵となります。

② 楽器編成を考える:和太鼓だけ?他の楽器と組み合わせる?
今回のコンサートでは、以下の5つの楽器を使用します。
和太鼓(複数種)篠笛箏三味線雅楽
メロディー楽器を入れるか、リズムのみで構成するかは自由ですが、音楽の基本要素であるリズム・メロディ・ハーモニーの三要素をどう取り入れるかによって、楽曲の印象は大きく変わります。

③ サビ=テーマ部分から作る!構成の核を決める
「この曲の一番伝えたいところはどこか?」を明確にしたら、まず“サビ”を先に作曲します。サビを核にすることで、前後のメロディや展開が組み立てやすくなります。
Aメロ → 導入Bメロ → 展開・変化サビ → 感情のピーク間奏 → 空気の転換やソロ回しエンディング → 余韻
というように、曲の全体構成を俯瞰して設計していきます。
④ 担当パートを振り分ける
ここでは、どの楽器がいつ主役になるのかを決めていきます。
Aメロ:篠笛が情景を描くように旋律を奏でるBメロ:三味線が拍子を崩してアクセントを加えるサビ:和太鼓全体がうねるように盛り上がる間奏:笙の響きで一旦静寂へ
など、各パートの役割を明確化することで、アンサンブルにまとまりが生まれます。
⑤ 実際に音を出して修正・調整する
譜面上の完成ではなく、最終的な仕上げは「耳」と「体」で行います。
実際の演奏で違和感があれば、都度修正。“響き”や“間合い”、“呼吸”のズレを合わせながら仕上げていきます。
次回予告:「雨夜の星」ができるまで
今回は作曲の流れをご紹介しましたが、次回は具体的に「雨夜の星」という楽曲がどのように作られたか、その構成・工夫・背景エピソードなどを詳しくご紹介します。
興味のある方は、ぜひコンサートにも足をお運びください。

