和太鼓奏者の本気トレーニング!プロが実践する体と心の鍛え方
和太鼓は“音楽”であると同時に、“全身運動”でもあります。
見た目以上に体力・筋力・持久力が必要とされ、日々の稽古と並行してコンディションを整えるトレーニングは欠かせません。
ただし、和太鼓奏者にとって理想の身体づくりは、ボディビルダーのように「とにかく筋肉を大きくする」ものではありません。
今回の記事では、私自身がプロの和太鼓奏者として日々実践しているトレーニング方法を紹介します。
太鼓を打つことが一番のトレーニング?
よく「一番の練習はひたすら打つこと」と言われます。
たしかに、太鼓を実際に叩くことは最も効果的な練習方法のひとつです。特にプロ奏者を目指すのであれば、太鼓に触れる回数を増やすことは避けては通れません。
ただし、私は**“太鼓を毎日叩いていれば自然と必要な筋肉がつく”という考えには少し距離を置いています。**
筋肉の使い方に癖がつきすぎると、偏った負荷がかかってしまったり、故障の原因になることもあります。
そのため私は、太鼓を打てる日はしっかり打つ。打てない日には別の手段で基礎体力を維持・強化するという考え方でトレーニングを組み立てています。
トレーニングの基本方針
● 太鼓の稽古は週1回以上確保
太鼓の稽古ができる環境を最低でも週に1回は確保しています。
このとき、ただ漫然と叩くのではなく、課題をもって“集中”して打つことが大切です。短時間でも、1打1打に意識を込めた練習のほうが効果があります。
和太鼓奏者のための筋トレメニュー
1. ランニング(有酸素運動)
全身持久力を鍛える基本メニューです。
私は朝または夜に、5〜7km程度のジョギングを週3回行っています。
演奏中はステージ上で全身を使って動き続けるので、持久力がないと途中でスタミナ切れを起こしてしまいます。
また、ランニングは心肺機能を高め、動きながら呼吸をコントロールする力も養ってくれます。
2. 軽量ダンベルでの高回数トレーニング
筋肉を大きくするよりも、持久力を持ったしなやかな筋肉を育てるのが目的です。
- ダンベル(4〜5kg)を使用
- 肩〜腕の筋肉を意識して、上下に40回×3セット
これは腕の疲労耐性と瞬発力を高めるのに効果的です。
3. 内もも・下半身強化
足腰が安定しないと、打ち込みに力が乗りません。特に内ももの筋肉(内転筋)を鍛えることで、演奏中のブレが少なくなります。
- 内ももトレーニング器具を使用
- 40回×できる限りのセット数
- スクワットやランジも併用
内転筋がしっかりしてくると、「地に足がついた演奏」ができるようになります。
筋肉は“演奏できる身体”を作るための手段
筋肉が大きければ良いというわけではありません。
例えば、短期的に筋トレを頑張って“マッチョ”になっても、実は太鼓演奏には向いていない場合があります。
演奏では、スピード・反復性・耐久性・柔軟性が求められるからです。
そのためには、「機能的な筋肉」=動ける筋肉が必要。これを意識したトレーニングが大切だと感じています。
心のトレーニングも忘れずに
和太鼓はメンタル面の強さも問われる芸術です。
体がきつい状況でどこまで音を出し切れるか。
本番前の緊張感にどう向き合うか。
そういった心の強さは、日々の習慣の積み重ねで養われていきます。
- 朝起きてすぐに軽く運動をする
- 同じ時間に練習・トレーニングを続ける
- 小さな目標を自分で決めて達成する
地味ですが、こうした積み重ねが本番での安心感と集中力に直結します。
まとめ|音にはトレーニングの“質”が出る
和太鼓は身体表現であり、体が資本です。
“打ち手の身体づかい”が音に出るからこそ、日々の鍛錬の質がそのまま演奏に反映されます。
大切なのは、自分の理想とする音を出すために、自分に合ったトレーニングを見つけること。
このトレーニング方法が誰かの参考になれば幸いです。
そして、和太鼓という素晴らしい表現を支える「身体と心づくり」に、これからも真剣に向き合っていきたいと思います。

