和太鼓オリジナル曲「雨夜の星」ができるまで 番外編
作曲への道のり
別記事にて新曲の制作過程をお見せしました。
で、結局どうやって曲作るんですか?という芯の部分はあえて載せていません。
なぜなら、作曲について書くととても複雑で理解が難しいからです。
デモ音源を載せて、骨組みをお見せすることで何かの参考になればという程度で記事を書いています。
今回の番外編ではより深い内容になっていますので、“作曲に興味のある人”だけご覧いただければと思います。
プロの作曲とは
プロとして作曲をするのは責任が伴うことです。
私の考えはこうです。
「チケット代をいただき、お客様の貴重な時間を頂戴して披露するのに、なんの知識もない人間が“なんとなく作った曲”など、世の中に出してはいけない」
しかるべき知識と経験、責任の上で曲作りは行うべきです。
目的を見つけること
作曲とは正解も不正解もありません。奥が深く一度足を踏み入れれば深い沼にハマったように抜け出すことはできません。
勉強するにもそれなりの覚悟が必要です。
そのため、途中で挫折しないための“目的”を見つけることが最も大切です。
私の場合は、2020年のコロナ禍で時間ができたこと。コロナ禍が明けた時にはソロコンサートをしてみよう、と思ったことが作曲へ取り組み始めたきっかけです。
独学ではなく、きちんと学びたい。
ネットで検索すると、兵庫県の灘区で作曲レッスンが行われていることを知り、すぐに申し込みました。(当時は神戸在住だったため)
先生との出会い
上位に上がってきたのは、ミムラシンゴ先生のサイトでした。
YouTubeなどを拝見していると、世界観がとても素敵で、和楽器にも理解をしていただいていることが後押しとなり、月2回のレッスンに通い始めました。
先生の公式サイト:http://shingo-mimura.com
動画はこちら:https://www.youtube.com/@shingomimura_official
沼の入り口へ
先の見えない道へ一歩踏み出してしまいました。
まず、音楽とはリズム・メロディー・ハーモニーで構成されます。
詳しくは↓
https://vocal-prove.jp/contents/fan_contents_08.html
私の場合、リズム(和太鼓)・メロディー(篠笛)は演奏可能でしたし、ある程度理解もしています。
問題はハーモニーの部分です。
ピアノが弾けていれば…何度そう思ったことか分かりません。
しかし、所属していた和太鼓松村組では、マリンバと和太鼓を組み合わせた音楽を作っています。
なんとなく聞いていただけでしたが、音楽の3大要素が詰まったチームで活動していたため、自然と体に入っていたのが大きな助けとなりました。
まずはコードを理解する
リズム・メロディーはなんとかなっていたので、ハーモニーの部分のみに集中してレッスンをしていただきました。
まずはコードの知識を体に入れていきます。
これが本当に難しい。高校時代は音楽で「1」をとって留年しかけていた私には地獄の作業です。
久しぶりにノートとペンを取り出して、ひたすら理論を書き込んで理解していきます。
詳しくはこちら↓
和音を簡略化して表記されたものがコードです。
よく楽譜で“C’とか’Am’とか書いてあるやつがそれです。あれは音楽的に意味があるんだと初めて知りました。
松村組の楽譜にもよく書いてありましたが、初めて本来の楽曲を知ったような気がします。
他にもスケールやモードの勉強も。中には音源を聴いてどんな音が積んであるのか(コードはなんなのか)を譜面にする課題もありました。
キツすぎる
この時点で私の心は挫けかけています。
ペンを握りたくない…コリにコッた頭が少しずつほぐれていく、そして悲鳴もあげているのが分かります。
体でコードを覚える
しかし、ソロコンサートをすると決めたからにはやり抜きます。
次の課題はピアノでコードを弾けるようにすることです。頭で理解した後は体でということです。
まずは簡単なCメジャーのコードを弾けるように。
C-Dm-Em-F-G-Am-Bm(♭5)とコードネームだけで弾けるようにしていくわけです。
Cはドミソ、Dmはレファラと構成されている。勉強したことを活かして体に叩き込みます。
ピアノ演奏家になるために練習するわけではないので、若干練習方法は異なります。
コードネームを見ただけでどんな音なのか?目と耳で理解していきます。
アウトプットしていく
ざっくりとコードが弾けるようになった後は作曲へ取り掛かります。
篠笛だけで曲を作ることはやったことがあるので、作曲の方法を変えて取り組みます。
①まずはコードを決める。
②コードに合わせてメロディーを作る
③楽曲の最終調整
いつも適当に吹いていたメロディーで作曲なんてことはしません。
実践となると本当に難しい…というか作曲全部むずすぎでしょ、と逃げ出したくなる気持ちを鎮めて取り組みます。
>まずはコード。
ネットで引っ張ってきた王道コード進行を譜面に並べてみます。
>次にメロディー。
このコードに合うメロディーを作ってきます。この作業には正解はありません。
ここはある種その人の持つセンスや世界観の問題です。
しかし、コードから外れた音というのもあります。Cコードの中でラの音などはあまり使いません。
この時点で最低限の知識は身についているのだと思えた瞬間です。
>最後は曲の仕上げです。
もっと良いコードやメロディーがないか、何度も確認していきます。
そして出来上がった、記念すべき第1作品目はこちらです
ピアノについては、外注で頼みました。
もちろんコードはこちらから指定したものです。
というか、メロディーしか記載していない譜面を渡して、適当にピアノ入れて〜ってものすごく失礼なことなんだと初めて気がつきました。
1からコードをつけるのもメチャクチャめんどくさいですし、
そんな譜面渡されてもピアノ奏者は何をしたら良いか分かりません。
1作品仕上げてからは
ひたすら作品を作り続けます。
もちろん先生に確認していただきながら、どんどんブラッシュアップさせていきます。
コードだけではなくもっと奥深いところまで。
簡単にいうと、あえて音をずらすことでいい感じになるとか、めちゃくちゃ変態的な感じです。
同じようなメロディーにならないようにコードを変えて、リズムパターンを変えて。どんどんソロコンサート開催への道のりが見えてきます。
光が射してきた
やっとソロコンサート開催の兆しが見えてきました。ちょうどコロナも落ち着いてきた2022年。
1つの舞台を作り上げるため、“責任を持って世の中に出せる”そんな楽曲を作れるようになりました。
ここまで2年の道のりです。コロナ禍で時間が空いていなければ実現不可能だったかもしれません。
これも1つの道なんでしょうか。
コンサート開催にあたり、私が信頼を寄せる演奏家にゲスト出演をお願いしました。
もちろん、人に楽譜を見てもらうことは先生以外で初めてだったので、色んな意見をもらいながら、楽譜へ落とし込んでいきます。これも1つの勉強です。
第1回目のソロコンサートの様子
締めに
責任を持って世の中へ作品を送り出したい。
そんな思いから始まったこの道のりはとても辛くて大変なものでした。
0から始まった作曲への道のりに終わりはありません。
正直、私など作曲家と名乗るのは失礼に値するレベルです。
しかし音楽は“自由”なものです。
私は松村組で学んできた、「和太鼓音楽」を世の中に広めていきたい。
これからも作曲の道は続きます。
長々と書きましたが、作曲について悩んでいる方の後押しになれれば幸いです。

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