和太鼓 プロ奏者になるには|血と汗で掴む、本物の舞台への道
はじめに ― 赤く染まるバチが語るもの
赤く染まったバチ。
これは今私の元で修行している子のものです。
このバチは怪我や痛みを訴えるものではなく、努力の証です。
和太鼓を本気で叩き続けると、手の皮はめくれ、マメは潰れ、血が滲む。それでもバチを握り、振り下ろし続ける――この覚悟なしに「プロの舞台」には立てません。
この記事では、私自身の経験と、現在指導している研修生の姿を通して、「和太鼓のプロになるには何が必要か」をお伝えします。これから和太鼓の道を志す人にとって、現実的で厳しいけれど価値ある指針になるはずです。

プロとアマの決定的な差
「全力で打っているつもり」――多くのアマチュアがそう言います。
しかしプロの世界では、その「全力」が通用しません。
プロが求められる舞台は、単に音を出す場所ではなく、観客を魅了し、空気を変え、心を震わせる場です。そこには技術・表現力・集中力が高い次元で融合している必要があります。
とってつけたような技術や中途半端な仕上がりでは、プロの現場ではかすりもしないのです。
限界を超え続けることが日常
私のもとで修行している研修生は、遠く関西から愛知へ移住し、和太鼓だけに打ち込む生活を送っています。
練習では、毎回のように手の皮が破れ、マメが潰れても、決してバチを置きません。なぜなら自分の限界を超え続けることこそ、プロへの最短距離だからです。
痛みを理由に休む人もいますが、それではプロの扉は永遠に開きません。舞台は一度きり。観客にとっては、その日、その瞬間しかないのです。
研修生の日常 ― 朝から夜まで和太鼓漬け
研修生の一日はこうです。
- 朝起きてから寝るまで和太鼓のことを考える
- チームの仕事や現場に同行して学ぶ
- 帰宅後は1日の振り返りを行う
- 空いた時間はすべて練習に費やす
これは特別なことではなく、「好きなことを仕事にする人間」にとっては当たり前。
何かを得るためには何かを差し出す――いわば等価交換です。
その覚悟なくして、和太鼓で生きていくことはできません。
私自身の原点 ― 研修生になるまでの道のり
高校時代、偶然にも地元の知多半島に、和太鼓部の強豪校「日本福祉大学附属高等学校」がありました。私立でしたが、両親の理解を得て進学。3年間、和太鼓に全力で打ち込みました。
しかし、高校3年の進路決定の時期、「プロの和太鼓奏者になりたい」と言う私を応援してくれる人はほとんどいませんでした。
先生も友達も「就職や進学が普通だ」「お前には無理だ」と冷たい目で見ました。
それでも私は夢を諦めず、なんとかして当時憧れていた「和太鼓松村組」に連絡を取ろうとしました。
顧問の先生が陰で動いてくれ、メンバーと直接話せる機会を作ってくれたのですが――現実は甘くありませんでした。
松村組は研修生を募集しておらず、「高卒のあなたを受け入れることはあり得ない」と門前払い。
それでも諦めず、神戸へ何度も足を運び、電話をかけ続け、最後は「仕方なく受け入れる」という形で入門を許されました。
新天地での現実 ― 理想とギャップ
神戸での初めての一人暮らし。
毎日が壁の連続で、理想と現実の差に押し潰されそうになりました。
夢を叶えるのは、こんなにも大変なのか――そう感じて、1人涙を流す夜もありました。
しかし、この経験こそが今の私を作り、現在の舞台活動や指導に活きています。
覚悟がある人だけが見られる景色
和太鼓のプロになる道は、簡単ではありません。
練習の量も、痛みも、精神的なプレッシャーも、一般的な部活動や趣味のレベルとは比較にならないほど大きいです。
しかし、それを乗り越えた先には、観客の拍手と感動、そして「和太鼓を仕事として生きていける」という喜びがあります。
プロの景色は、覚悟を持ち、血と汗を流し続けた者だけが見られる特別な世界です。
まとめ ― プロを目指すあなたへ
- 限界を超え続ける覚悟を持つ
- 痛みや苦しさを言い訳にしない
- 日常をすべて和太鼓に捧げる
- 何かを得るためには何かを差し出す覚悟が必要
そして、ただ努力するだけでなく、現場に飛び込み、舞台でしか学べないことを吸収してください。
その積み重ねこそが、あなたを本物のプロへと近づけます。

よくある質問(Q&A)
Q1. 和太鼓のプロになるにはどれくらいの期間が必要ですか?
A. 個人差がありますが、基礎から始めてプロとして活動できるレベルになるには、最低でも3〜5年の継続的な修行が必要です。演奏技術だけでなく、体力、表現力、ステージマナー、さらには集客力や営業力も身につけなければなりません。研修生として毎日打ち込み続ける環境にいることが、最短ルートです。
Q2. プロの和太鼓奏者になるために必要な条件は何ですか?
A. 最も重要なのは「技術」と「覚悟」です。100%の力で打っているつもりでも、プロ基準ではまだまだ通用しません。さらに、和太鼓を仕事にするには演奏依頼を獲得する営業力や、人前で魅せる演出力も必要です。体力・精神力・社交性すべてが試されます。
Q3. 和太鼓の研修生時代はどのような生活ですか?
A. 朝起きた瞬間から和太鼓のことを考え、チームの仕事へ同行、帰宅後は課題練習と1日の振り返り。手の皮がめくれ、豆が潰れてもバチを振り続けます。休む暇はほとんどなく、常に次の課題と壁が待っています。等価交換の原則通り、何かを得るためには何かを犠牲にします。
Q4. プロを目指す上で最も辛いことは何ですか?
A. 技術的な壁よりも、精神的な孤独や挫折感の方が大きいです。「お前には無理だ」と言われたり、結果が出ない日々が続く中でも、諦めずにやり抜くメンタルが必要です。
Q5. どんな人がプロになれますか?
A. 技術はもちろんですが、「やめない人」です。どれだけ才能があっても、辛いときにやめてしまえばプロにはなれません。逆に、地道な努力を継続できる人は、必ず道が開けます。

