和太鼓のプロとは?知識・感情・意志で語る「本物」のプロ集団の姿とは
和太鼓の「プロ」とは何か?
- プロとは「お金をもらって演奏する人」だけではない
- 継続性、稽古への姿勢、信頼性がすべての土台にある
- 「プロ集団」と呼ばれるためには個人技術+チーム力も不可欠
和太鼓のプロ集団とは、単に演奏技術が高いだけでは語れない存在です。
愛知県武豊町を拠点に活動する和太鼓音楽集団「萌芽」の代表である私も、かつては「プロになる」と夢見た学生の一人でした。この記事では、渋沢栄一が提唱した「知情意(ちじょうい)」という人間の精神構造に基づき、本当のプロとは何かを紐解きます。和太鼓の世界を志す方や、すでに活動している皆さんにとって、プロフェッショナルとしての道標となるような内容をお届けします。

中学生で志した「和太鼓プロ」への道
私がプロを目指したのは中学生の頃。偶然見かけた「和太鼓松村組」の演奏会に心を打たれたことがきっかけです。その迫力と一糸乱れぬ演奏、舞台上の緊張感。それは趣味や部活動の延長ではない、まさに“職業としての和太鼓”でした。
その日を境に、私は「プロになりたい」と真剣に考えるようになり、高校は全国でも有名な和太鼓部を持つ学校へ進学。卒業後、18歳で神戸市に単身移り住み、和太鼓松村組への入門を果たしました。

見て学べ、考えて動け。それがプロの修行
和太鼓松村組の修行は、いわゆる「見取り稽古」が基本。
楽譜がもらえるなんて有り得ません。そんなものは自分で見て採譜します。もちろん指導も最低限。自分の目と耳と体を使って、技術や型を盗む世界でした。
何もできない私は毎日怒られてばかり。挨拶ができない、仕事もできない、技術も未熟。それでも、いつテストを出されても良いように、先輩の演奏を必死に見て覚えました。
その努力が実を結び、入門からわずか6ヶ月でプレデビュー。1年後には正式メンバーになりました。周囲からは「早い方だ」と言われましたが、私にとっては長く、苦しい1年間でした。

金銭的にもギリギリの日々、それでも夢を追う
修行時代の金銭事情。よく聞かれる話ではあります。
修行時代の生活は、経済的にも決して楽ではありませんでした。
住んでいたアパートの家賃は25,000円。神戸市内でこの家賃は破格です。
(神戸市内平均家賃50,000円〜※鳥居調べ)
トイレは水を流せば逆流。毎回小分けにして流さないと大事故です。(汚くてごめんなさい)
アパートも大変古く、いかにも何かが出そうな環境でした(笑)そもそも、住んでいた区内では一番安い物件だったので、トイレがあるだけマシだったのかもしれません。
大学に行かせたつもりで…と両親からの気持ちで、仕送りをもらいながら、早朝はコンビニバイト、昼は稽古に励み、夜は稽古の復習など。貧乏な生活でも構わないから、なるべく和太鼓に時間を使えるように努めていました。
1人暮らしではたくさんのお金が発生します。毎月、家賃や食費・光熱費などを合わせて5万円以内に抑えなければなりませんでした。バイト後にホットスナックが食べたくても買えず、1つ100円までのおにぎりやパンを食べてなんとか凌いでいました。それでも自販機でコーヒー1つ買えないような月もありました。
しかし、意外にもお金が無いなりに「なんとかなる」のが現実です
お金がないからと夢を諦める人もいますが、むしろ、限られた環境だからこそ本気になれることもあります。
頭で考えるより、まずは行動してみることが大事だと思い知らされた1年でもあります。
プロに必要な3つの要素 ― 渋沢栄一の「知情意」に学ぶ
そもそもプロってなんの基準で判断されるのか?
曖昧な人がたくさんいます。しかし私自身は以下の3つの要素が人よりも優れている人間がプロであると認識しています。
渋沢栄一は、「人間の精神は『知(知識)』『情(感情)』『意(意志)』で成り立つ」と説き、これらをバランスよく持つ人物を「完き人」と呼びました。
和太鼓のプロを目指す人にとって、この「知情意」は非常に重要です。
1. 知(知識)― 技術と社会性を学ぶ姿勢
プロである以上、演奏技術の習得は大前提です。しかし、それだけでなく、仕事の進め方、時間管理、舞台の進行や打ち合わせ、照明・音響との連携など、すべてが「知」に含まれます。もちろん、どうやって和太鼓で稼ぐのか。も含まれると思っています。
・和太鼓の基礎技術・応用力
・人より優れた和太鼓に関する知識
・舞台演出、音響照明に関する専門知識 など
2. 情(感情)― 感動を届ける力と他者への配慮
舞台は人の心を動かす場所です。演奏者自身が情熱を持って取り組んでいなければ、観客に届くはずがありません。また、自身の気持ちだけではなく、お客様にどれだけ貢献できるのか?和太鼓でどうやって社会貢献ができるのかも大切な要素の1つだと考えます。
・音楽で心を動かす情熱
・共演者・スタッフ・観客へのリスペクト
・演奏することの社会的意味は?
3. 意(意志)― やり抜く力と継続の覚悟
最も大切なのは「やり続ける覚悟」です。
怪我、失敗、経済的な不安、周囲の反対…さまざまな困難があっても、「和太鼓で生きていく」という強い意志があれば、必ず乗り越えられます。
・どんな状況でも和太鼓を辞めない意志
・自己研鑽を怠らない精神力
・自分自身との戦いを続ける覚悟

まとめ:プロ集団とは「知情意」の結晶である
「和太鼓プロ集団」とは、単に上手い人が集まっているのではありません。
それぞれが知識を磨き、感情をこめ、意志をもって挑み続ける。そのような人間たちが集まってこそ、真に“プロフェッショナルな集団”が形成されるのです。
演者として優れている…だけではなく、いかに人間として優れているのか?が最も大切な要素です。
和太鼓音楽集団「萌芽」も、こうした理念を大切にしながら、次世代のプロを育成し、観る人の心を打つ舞台をつくり続けています。
最後に
プロになることは、ゴールではありません。
スタートラインに立った瞬間からが本当の勝負。知識を磨き、情熱を持ち、意志を強く持って行動し続けることで、初めて「和太鼓プロ集団」の一員として胸を張れるのだと思います。
あなたがこの道を志すなら、ぜひ「知情意」という言葉を胸に刻み、日々の稽古に励んでください。
よくある質問(FAQ)
Q. プロになるには資格が必要ですか?
→ 和太鼓に資格制度はありません。実績・活動内容・演奏の質が評価される世界です。
Q. 今からプロを目指すのは遅いですか?
→ 年齢制限はありません。本気で取り組む覚悟と継続力があれば、遅すぎることはありません。
Q. 和太鼓だけで生活することはできますか?
→ 公演・指導・グッズ販売など、収入源を分散すれば可能です。ただし経営感覚と営業努力も不可欠です。


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