「上手くなる方法」なんて存在しない。だから私は“問題解決力”を鍛える|和太鼓を続けるということ
「どうやったら和太鼓が上手くなれますか?」
こういった質問をいただくことがあります。気持ちは分かります。私も昔はよく答えを探していました。でも今は、こう思っています。
「答え」よりも「考え方」のほうが、成長には大切だ。
そしてこの思考は、和太鼓だけでなく、人生そのものに通じると感じています。
まずは真似をする。大切なのはそこから何を学ぶのか
和太鼓に本気で向き合い始めた高校生の頃、とにかく憧れのプロ奏者の真似をしていました。
芸事は全て真似事から入るものだと思い、ひたすらDVDを見て素振りをしたりなど。
しかし真似をしても憧れの奏者を超えられない。そもそも真似ばっかりして自分の成長に繋がるのか?と疑問視するようになりました。
そこでもう1度考えを改め直し、真似をすることの意味について深く考えるようになりました。

問題解決力が、再現性を生む
そもそも真似をすることの本質とは?それはなんといっても自身の技術力向上へ繋げることです。
その人のフォームを再現し、どのような音が出て、どのようなパフォーマンスができるのか?と学ばなければ意味がないわけです。何よりも真似をしている時点でただの劣化版でしかないので、オリジナリティーは全くないわけです。
そこに気がついてからは、フォーム・打点・身体の軸・バチの入り方・脱力のポイント。全部細かく見直しました。
真似ばかりでは何も学べないが、真似をすることの‘意味”を考えることで、“どうやって答えに近づいていくか”という方法は身につけることができる。
そう気づけたことが、私の演奏を一段階変えてくれました。

「気づく力」を育てたい
今、私は和太鼓の指導も行っています。教える側になったときに意識しているのは、「すぐに正解を教えすぎないこと」です。
例えば、ある生徒さんの音が詰まってしまった時。
「もっと手首を使って」「身体の軸をこうして」とすぐに答えることもできます。
でも私は、まず本人に気づいてもらうようにしています。
- 何が違和感なのか?
- いつから変わったか?
- 他の方法を試したことがあるか?
その問いを繰り返すうちに、自分なりの言葉で理解が進みます。
そうして自分の言葉で気づいた瞬間の演奏は見違えるほど変わります。
道具もまた、思考の対象だ
演奏だけではありません。道具もまた、思考の対象です。
例えばバチ一つとっても、木の種類、太さ、長さ、重心、持ち手の滑り具合…すべてが音に影響します。
「この人と同じバチを使えば、同じ音になる」
そう思ってしまう人もいますが、そんな単純なものではありません。
道具の選定は、技術そのものです。
自分の身体感覚と向き合い、自分の音に一番合う道具を探すプロセス。
それもまた、問題解決の積み重ねだと思っています。
成長する人は「考える筋肉」がある人
最終的に、成長する人と伸び悩む人の差は、**“考える習慣があるかどうか”**だと思っています。
- 上手くいかない時、何が原因かを探れるか
- 他の方法を考えられるか
- 自分の体や感覚を言語化できるか
すぐに「どうすればいいですか?」と聞く前に、「今、何が起きているのか?」を自分で観察する。
その積み重ねが、自分で上達していける力=再現性のある演奏を育てます。
答えを持っている人ではなく、問いを考え続けられる人に
何かを学ぶ時、つい「正解」を求めてしまいがちです。
でも、正解は時代によって、環境によって、そして人によって変わります。
大切なのは、“どう問いを立て、どう仮説を立て、どう検証していくか”という思考のプロセスです。
和太鼓というアートであれ、教育であれ、仕事であれ、
結局のところ、問題解決力を鍛えることこそが、人生を通じて役に立つ力になる。
私はそう信じて、これからも演奏し、教え、考え続けていきます。


